
浮かんでまいりました。でもこの子供の変容こそ、真剣に子供を立派に育て上げよう、とされるご指導のたまものであると感謝とともに、広い角度からこの世の中に適応できるための逞しい躾に徹してくださる寮母さんに合掌を捧げる思いでした。
このような子供の姿から私の教育観も徐々にではありましたが変わりました。愛情の大切さは十分にわかりますが、ワンサイドからだけの愛情では、教育は不十分であることを知りました。やはり、広い出会いの中から、そして、いろんな体験の中から人は育つということでしょう。子供の開放の大切さを知ったのです。私にとって子供を預けたことから受けた収穫は莫大なものがありました。
何事にも下欄な子だから、甘くと考え、許容の幅を広げていた私は、学校でうまく適応させてもらっているだろうか、と絶えず心配していました。でも、学校参観で回を重ねるごとに、こうした心配は無用のものであることに気付きました。
熱心で、子供たちのために懸命に努力される先生方が、たくさんいらっしゃるのです。子供たちも明るく伸び伸びしています。特殊教育への暗いイメージを持っていた私の偏見や不明を恥じるばかりでした。
学校では、生徒会長などもして頑張っていたころもあったようです。
修学旅行で帰りについた子供を駅まで迎えに行ったときのことです。駅構内の広場で、集合した一団が長男の指示で動いています。感心して見ていますと、「上江君のお母さんですね」と付き添われた世話係らしい方が寄って来られました。
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